お気に入りを見る1950年代に開発されたダイバーズウォッチは潜水経過時間を知るための計器であり、機能性に重きを置くツールウォッチである。そのため正式に“ダイバーズウォッチ”と名のるためには、ISO規格（国際標準化機構）の「ISO 6425」に準拠しなくてはいけない。
そこには「逆転防止機能付きの回転ベゼルなどを備えていること」「暗所で25cm の距離から時刻や時計を読み取れること」「耐衝撃性として、ハードウッド（樫、マホガニー材などの、硬い木）の面に、1m の高さから落としても耐えられること」「バンドを締めた状態で200N（約20kg 相当）の力で引っ張っても耐えられること」といった記載があるため、それを守るとどうしても同じような時計が出来上がるということになる。しかも色気ある仕掛けや遊び心のあるデザインといったテクニックも難しくなるので、マリンスポーツやマリンカルチャー、あるいはアウトドアなどが好きな人にはガチっとはまる一方で、インドア派やファッション的に時計を楽しみたい人にはあまり食指が動かない…。そんな時計でもあった。
タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル 300 オレンジダイバー自動巻き、SSケース、ケース径43㎜、300ｍ防水
395,000円
そんなわたくしも、これまでダイバーズウォッチを購入したことは一度もない。それは、ダイバーズウォッチのタフすぎる個性が、自分のライフスタイルと相性が悪かったということが一番の理由だろう。しかし「タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル 300 オレンジダイバー」は、そんな先入観を変えるかもしれない。
アクアレーサー プロフェッショナル 300は、1978年製ダイバーズ「ホイヤー Ref.844」を原点とするタグ・ホイヤーのダイバーズウォッチコレクションで、昨年、ベゼルやインデックス、6時位置に移動したカレンダーなど小さなアップデートを行った。その新作となる「タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル 300 オレンジダイバー」は、そのモデル名が示すように、ダイヤルのオレンジ色が特徴。オレンジ色はエマージェンシーカラーとも呼ばれるほど視認性に優れた色であり、初代「ホイヤー Ref.844」に続いてリリースされた歴史的な色でもある。
このオレンジダイバーズが、腕元に映えるのだ。時計自体はダイバーズウォッチの王道であり、色自体も機能的な裏付けがあるのだがしっかり華がある。これならファッション目線でも楽しめそうだ。
大きな針とインデックスは、ダイバーズウォッチの定番。オレンジ色のダイヤルには横線の刻みが入る。ベゼルはブラックセラミック製。
バックルには1.5㎝まで伸長する微調整システムを採用。着用感をしっかり追求できる。
針やインデックスに、夜光塗料を塗布。秒針や分針、ベゼルの三角マーカーなど、潜水計測に必要な表示はブルーに光る。
そこで注目したのが、カーキ色のカバーオールだ。ワークウェアをルーツにもつカバーオールは、ラギットな雰囲気があるのでタフなダイバーズウォッチと好相性であり、しかもカーキ色もオレンジ色も、黄色をベースとしているので両色の相性はとても良い。カーキ色はメンズファッションの定番色だが、くすんだ色味なので全体的に平坦なトーンになりがち。そこにオレンジの差し色を利かせれば、全体をトーンアップさせる効果もあるだろう。もちろん夏の明るい日差しの下にも映える色なので、アクセサリー効果は抜群である。
ダイバーズウォッチ=ツールウォッチであり、そのスペックや堅牢なケースには時計メーカーの本気が宿っている。しかしカラーリングに注目すると、また新しい魅力が見えてくる。
千葉・九十九里浜にて。カーキ色のカバーオールに、オレンジ色の「タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル 300 オレンジダイバー」を合わせた。オレンジ色とカーキ色は、とても相性がいい。
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